マネジメント

1on1ミーティングの効果的な進め方。話す内容を事前に決めて部下を育成・成長させる方法

この記事で解決するお悩み

  • 部下がなぜか突然会社をやめてしまうのを止めたい
  • 1on1ミーティングの進め方が知りたい
  • どのうような手順で行いえばよいか知りたい


部下に成長してほしいと思ってはいるものの、どのように人材育成していけばよいか難しいですよね。


1on1ミーティングを正しく行えば、部下の向上心を引き出して、成長を促すことができますよ。この記事では、効果的に進める方法をお伝えしていきます。

ターナー

この記事を書いた私は営業歴26年、年商230億円企業の役員をしています。

まだ、成果の出ていない営業パーソンのお役に立てれば幸いです。

1on1ミーティングとは

1on1ミーティングとは、部下の悩みを聞いたりアドバイスをしたりするために、上司と部下が1対1で話し合うことを言います。


世界的に見ても人材育成の手法として注目を集めています。日本ではソニーやパナソニックなどが取り入れており、他にも多くの企業で導入が進んでいます。


今までの評価面談とは何が違うのか

今までの面談というのは、業務の進捗や成果など、業績を上げることが目的となっているため、上司から部下への一方的なコミュニケーションになりがちでした。


1on1ミーティングは、部下がどんな悩みを持っていて、どんなキャリアを目指しているのかなど、部下との信頼関係を築いて、部下を自主的に成長させていくことを目的に行われます。


1on1ミーティングを行うことにより、部下の悩みを引き出し、モチベーションを上げて、成長を促すことにより、会社の業績も上がっていきます。


なぜ1on1ミーティングが必要なのか

出典:リクルートマネジメントソリューションズ


リクルートマネジメントソリューションズが2022年1月に実施した「1on1ミーティングに関する実態調査」によると、日本企業の約70%で導入していることがわかります。


日本では人口減少に伴って、労働人口も減ってきています。また、転職に対して抵抗もなくなってきています。


企業からすると、少ない労働人口、流動的な人たちをいかに自社にとどまってくれるかを考えなければなりません。


時代の変化に伴い、「厳しい環境で育つ」ということから「自分の好きな環境や自分を認めてくれる」職場で働きたいという価値観の変化も要因だと言えます。


1on1ミーティングを導入することによって、自分一人では解決できなかったり、思い悩んで時間を無駄にしたりすることも、経験豊富な上司と話し合って解決に向かうことができます。


また、気づきを与えることによって「自分で考えて行動できる社員」に育成することができるため、1on1ミーティングは効果的な育成方法といえるでしょう。


1on1を取り組んでる大企業の事例

楽天株式会社

「勝てる人材、勝てるチームを作る」ための一環として、2017年に1on1ミーティングが全社に導入されました。


1on1ミーティングの目的は、お互いに理解や信頼、定期的なフィードバックによる成長支援です。2023年3月に実施された自社調査では95%以上の従業員が1on1ミーティングに満足との回答がでています。

楽天の従業員の声

  1. 週に一度上司に相談できる時間はとても心強いです。
  2. 上司や開発メンバーに相談しながら進めたことが個人やチームの実績につながった。
  3. 業務がより円滑に進み、自信の成長も加速しました。
  4. 時には私の弱みについてのフィードバックもありますが、信頼関係があるので成長の機会だと前向きにとらえることができます。
  5. 上司の目線で現状を客観的に捉えることができるので業務上でどの部分を改善すべきかを常に明確にしておくことができた。
  6. 緊張のあまり営業がうまくいかずに自信を無くしても、週1度ある1on1ミーティングでの温かなやりとりで、前向きな気持ちになりました。


1on1ミーティング文化の浸透が従業員の成長を支えていること、特に重要な「心理的安全性」の向上に寄与していることに、人材開発担当グループは誇りを感じているようです。

参照:Rakuten採用情報より

ヤフー株式会社

組織運営の向上を目指して、最大限の潜在力を引き出す目的で1on1ミーティングを2012年から取り入れています。


高度経済成長期が終わり、年功序列制度や終身雇用制度が崩壊。企業の求心力が以前よりも失われて、キャリアを会社が与えるのではなく、社員による主体的なキャリア形成が必要になりました。


もともとは、人事部の主導で始まった1on1ミーティングでしたが、外部の専門家も入れて、カリキュラムをヤフーに合うものにブラッシュアップさせていくことで浸透を図りました。


現在では、約6,000人の社員が1on1ミーティングを実施しています。


部下がなぜ突然会社をやめてしまうのか、反抗期なのか、思うように動いてくれないのか、指示待ちなのか?

そんな悩みを抱えたことがある方は、1on1ミーティングを実施して部下の考えを自ら話してもらい、そこから原因を引き出すことで解決するかもしれません。

出典:yahoojapan企業情報より


1on1ミーティングを行う4つのメリット

上司への信頼や愛社精神を育む

1on1ミーティングを正しく行うことで、上司とのコミュニケーションがとれるので、上司への信頼や会社に対しての信頼が向上します。


部下は自分のために、会社や上司が尽くしてくれていると感じれば、逆に会社や上司のために尽くしたいと思うものです。

継続的な部下の育成

仕事が忙しかったり、人手不足だったりすると部下の育成がおろそかになりがちです。先輩社員には当たり前のことでも、経験の浅い部下には難しいことも多々あります。


1on1ミーティングを定期的に行うことで、上司も部下の業務内容やおかれている状況を細かく把握できますので、結果だけではわからなかったプロセスがわかってきますので、どこを改善したほうがよいか的確にアドバイスできます。


部下も、疑問に思っていたことの解決策やスムーズなやり方など効率よく仕事ができることに気づくことができます。

離職率を低下させて顧客満足度UP

1on1ミーティングを行うことによって、上司と部下との信頼関係を築き、不安や不満などの悩みを聞き出すことで従業員満足度のUPにつながります。


また、プライベートの悩みまで相談できる間柄になればもっと強い絆ができるので、さらなる離職率の低下にもつながるでしょう。


離職率の低下により、仕事の経験が長くなるので部下の対応力などのスキルがUPします。すると、自然と顧客満足度もUPしますよね。

評価に納得できてモチベーションUP

部下は、自分の評価を気にするものです。評価していることをきちんと伝えることでモチベーションが上がります。


また、評価されてない部分は何か、どんな課題があるのかを伝えることで、どこを改善すればよいのかがわかります。やるべきことが明確になるので納得して改善にとりくみやすくなります。


1on1ミーティングによって成功循環にもっていく

参照:Adecco Group AG

今までのマネジメントは、業績向上や達成度を目的に行われるものが多かったのですが、最近のマネジメントでは、成果や業績を高めるためのコミュニケーションや部下の主体性、創造性を重視しています。


この考え方によれば、①職場で社員間の良好な信頼関係が築かれていると、②社員の思考が前向きになってモチベーションも高まる。すると、③新しい行動にチャレンジする意欲が生まれて、④良い結果が出やすくなる。というものです。


成功循環にするための第一歩としては、普段からのあいさつや雑談、小さなことでも評価しあったりすることから始める事です。どんなにすぐれたマネジメントを取り入れたとしても日常会話もままならない職場では効果も期待できません。


1on1ミーティングを導入しても効果がでない場合

形だけの導入になっている場合 

上司の傾聴スキルやコーチングスキルが向上していないと、時間だけがとられて逆効果になってしまうことも。


上司ばかり話をしてしまって、形式上の1on1ミーティングになってしまうことで、結局、悩みを引き出せずに終わってしまうことになります。


部下が主役ととらえ、上司は自分の意見を先に言わないようにして、部下の話に耳を傾けるようにしましょう。

正しい手順に沿っていない場合

事前準備を怠っているがために、部下の本音が引き出せなかったり、正しいアドバイスができなかったりします。


部下から話を引き出す質問をすることがとても大事です。事前に質問内容をまとめて1on1ミーティングを始めましょう。


ただの雑談で終わらないように、次回の課題も話し合ってから終わるようにしましょう。


1on1ミーティングの実施方法


8割は話を聞く側になる

上司が先に意見を言ってしまうと、部下はそのことを否定したり反論したりできません。


上司は聞く側になり、部下に8割は話をしてもらうように心がけましょう。

事前に把握・設定をしておく

1on1ミーティングを行うにあたって、上司と部下が目的を理解したうえで行うことが大事です。


部下には言いたいことをまとめてもらっておき、上司は下記のことを事前に把握しておきましょう。

  1. 部下の業務内容の把握
  2. 短期の達成すべき目標の設定
  3. 目標達成をはかる基準


その人に合った目標を設定して、部下の能力を引き出しましょう。


話し合う内容や質問の内容・順番を事前に決める

質問する順番

  1. 雑談(最近の出来事やプライベートのこと等)
  2. 良い点を認めて、日頃の感謝を伝える
  3. 相手の体調やメンタルへの気遣い
  4. ヒヤリング(業務で困っていること、悩み、不安、不満、疑問、要望など)
  5. ヒヤリングに対しての解答、即答できない場合は控えておいて後でフィードバックする
  6. 相手の問題や課題を伝える
  7. 相手の育成のためのアドバイスをする
  8. 今後のキャリアの希望などを確認する
  9. 今後の会社の展望の話をする


話の内容によっては順番が前後したり、省いたりする項目もでてきますが、概ねこの流れで話をするとスムーズに進められますよ。


2回目以降は、1回目で伝えている課題やアドバイスに対しての確認もするようにしましょう。


短いサイクルで定期的に行う

可能であれば1週間に1回は実施したいところです。難しい場合は、1ヶ月に1回は行いましょう。


回数が多い分、1回の時間は20~30分程度でよいでしょう。


まとめ

1on1ミーティングでは、部下の成長につながる気づきやアドバイスを与えることが大事です。


部下も1対1で時間と場所を作らない限り、なかなか本音を言えません。1on1ミーティングを取り入れて、部下の成長を促しましょう。


最後まで読んでいただきありがとうござました。


  • この記事を書いた人

ターナー

【営業歴26年】営業経験を5年経た後、年商5千万円、従業員数5人の小さな関連会社の責任者になりました。21年たった今では、年商25億円、従業員数100名を超える会社へと発展させて、年商230億円企業の取締役も兼任しています。

-マネジメント